タイの思い出・ワニ

 最近思い出した、タイでの生活を。それはそれは懐かしい思い出、かけがえのない経験をさせてもらったと今思い返すにほのぼのと思うものだ。

 突然だが、ワニはあまり動かない、これは警戒している時にそうなのだろうか。確かにぴくりとも動かず、静止していた。私はそのワニのオリの横にあった竹ホウキを見つけ、或る事を思い付いたのだった。言うまでもなくそのホウキで、ワニをつんつんと突ついてやろうと思ったわけだ。そうしておもむろにホウキを掴み、恐る恐るホウキをオリの隙間に差し込み、ワニに近づけた。にゅ〜・・まだワニはピクリともしない、何故だ? 死んでいるのか? いやそんな訳はない。更にホウキを延ばし、ついにはワニの首筋辺りにホウキの先端は差し掛かった。そしていよいよワニを地かに突ついてやろうとした矢先の出来事である。

『ぐわぁーーーぐぉーーー!! バキバキッ!!』

 あの硬い筈の竹ホウキが・・見事に噛み砕かれたのであった。驚いた、確かに驚いた・・その場で奇声を発し、シリモチまでついてしまった。しかし驚いたのは私だけではなかった。そう、周りにいた人々であった。言うまでもなく、その人達には何が起こったのか知る余地もない。そう、ワニに驚いたのではなく1人で叫び、転げまわっていた私に驚いたのである。世界各国の観光客が、その場所には来ているのだ。日本人はワニを見ると、勝手に叫び転げまわる人種だと思った事であろう。そう、私は日本人が暗い人種でなく、ワニを見ただけでお祭りのように騒ぎまくる、陽気な人種である事のアピールに成功したとも言えるであろう。世の中、決して無駄な事など無いものだ、と信じる今日この頃であったぁ・・・


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