タイ、バンコクに日本人をひいきにするホテル、フォーチュンというのがある。私がこのホテルに辿り着くと、オーナーフロントポーターなど、たいへん気持ち良く接してくれた。中級クラスのホテルであるが、なんだかタイらしくて気に入っていた。が、しかし・・・ケンがいけない。愛想の良いごっつい男で、歳は20代中半くらい、日本人を大切にし、また食い物にして稼いでいるのだった。
到着した夜、私はケンにタイ式マッサージのお店を尋ねたのだ。何故なら私は、6時間の飛行機で肩や腰がたいへん疲れていたからである。ケンは雄叫びと共に、私を案内したのだったが、行ってみるとボロボロで看板も出ていない一軒の木造屋に辿り着いた。カマーン、カマーン。ケンが入れと言う。大丈夫なのか、私はいざと言う時のため、半身に構え、息吹を吐きながら足を踏み入れたのであった、が、その瞬間である、しまったぁ〜・・・ケンがニヤニヤしている、そこは置屋、そう、ケンはまったく勘違いをしていたのであった。中にはひな壇飾りで、ナンバープレートを付けた娘どもが、引きつった笑顔でいっせいに私を見つめている。そして事もあろうに勘違いケンは、自慢げにどうだ、と言わんばかりの態度である。
私は呆れながら、トラディッショナルマッサージOK? と、マスターに聞いてみた。マスターは不思議そうな顔で、オッ・・オフコース OK OK、と答えたのだ。何でも良い、では一つ頼む、と私は娘の選択はケンにお任せして、部屋へとあがっていった。私は銭にならない客である、ただひたすらマッサージのみを要求した、2時間のマッサージで小娘は5回は一服休憩をしただろうか、力もなく全然効いてない、よけいにくたびれたマッサージであった。ホテルに帰ると、真っ先にケンはやってきて、ヘイ ミスター ベリグー?
私はこの一言で頭に来た、そして、やられたらそのままでは済まさない私は、ケンの首筋を両手で抱え込み、ムエタイの必殺膝蹴り、天を貫く‘テンカオを御見舞いしたのであった。ケンは‘何故に私は・・・‘と言う息も出来ない苦しい形相で、私を見つめ、ウルウルしていたのであったが、私はその場を颯爽と引き上げて行ったのであった。こうして、未知なる世界とどんな敵にも後ろを見せない、まさに黄レンジャー的精神でバンコクの蒸し暑い夜が、過ぎて行った事は言うまでもない事であった・・・
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