日・タイ婚姻法 日本人とタイ人の婚姻・入国手続、子に関する諸手続

第1章 日本人夫(妻)とタイ人妻(夫)の婚姻

待婚期間(再婚禁止期間)

    待婚期間とは

      1. 女性は以前に結婚したことがあると、その離婚、あるいは前夫の死亡などから一定期間経過しないと、次の婚姻ができないというのが、多くの国の立法例です。この期間を待婚期間もしくは再婚禁止期間と呼んでいます。

      2. 日本の民法はこの期間を6ヶ月と定めています。一方、タイ国民商法はこの期間を原則として310日と定めています。このように本国法を異にする者の間の婚姻に関しては、双方要件と呼び『重きに従う法理』によることとされています。したがって、双方の国の待婚要件を具備しなければならないことになります。

    待婚期間の短縮規定

       ただし、タイ国法にはこの310日を短縮する規定があります。

      【タイ国民商法典 第1453条】待婚期間

      1. 前婚解消日から310日とする。
      2. その解除条項として、以下の場合を認める。
      3. (ア)  子が1の期間内に出生した場合
        (イ)  離婚した夫婦間で再婚する場合
        (ウ)  適法に開業している医師が発行した女が懐胎していないことの証明がある場合
        (エ)  女につき婚姻を許可する裁判所の命令がある場合
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      ● 婚姻関係(在東京タイ王国大使館領事部)

      なお(ウ)の医師による証明ですが、在東京タイ王国大使館のサイトには、

      「相手の女性がタイ国籍者で、離婚後310日経っていない場合は、妊娠していないことを
      証明する診断書を提出してください。日本語の診断書の場合は英文に訳してください。」

      とあります。そこで、ここにいう医師とはタイの医師のほか、「日本の医師でも良い」と解されます。そしてタイ法では何日までしか短縮できないという規定はありません。そうすると日本法との双方要件で、6ヶ月プラス医師の証明で再婚可能と解釈できるのですが、いかがでしょうか。

    待婚期間の更なる短縮の検討

       日本法の待婚期間6ヶ月でさえ待てないというご意向も伺いますので、これが短縮できないか検討します。

      • 待婚期間違反は民法上取消事由です。無効原因ではありません。取り消されるまでは有効です。

      • また、創設的届出ではなく報告的届出であれば、受理せざるを得ないことになっています。日本に報告的婚姻届をするということは、外国で創設的婚姻届をするというです。

      • タイ法では、上記のように医師の証明等による待婚期間短縮規定があり、その時間的な制限がありません。
         そこで、この規定を用いてタイ式の婚姻をタイ現地の郡役場で行えば、日本側へは報告届となりますので、日本法の待婚期間の規定に拘束されないことになると解されます。

      • かつて、在東京タイ王国大使館のサイトには、タイ人と日本人の婚姻を大使館で受理する旨が書かれていました。タイ側(大使館)へ創設届、日本側へ報告届を出す方式ですので、日本法の待婚期間6ヶ月に拘束されないように読み取れました。
         しかし、これを日本の法律に照らすと、不適法となります。法例13条3項但書の規定によれば、「日本における挙行で当事者の一方が日本人の場合、日本の方式によらなければならない」と定められており、この規定に反しますので、日本で無効、タイでのみ有効な跛行婚になると解されます。古いですが、同旨の家裁審判例があります。

(続)


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