実録 婚姻手続き

記: 2002年3月
改訂: 2002年4月
改訂: 2003年11月

     私は2001年秋に日本で婚姻届を先に出す方法で結婚しました。私の経験を元に「日本で先に結婚する」方法を説明します。なお、法務省、外務省(在タイ日本大使館領事部)、タイ国外務省(在日タイ王国大使館領事部を含む)、タイ内務省と関係する役所が多く、運用の変更等によりこの情報は陳腐化する危険性がありますので、手続きを進めるときは事前に最新の情報を収集するよう心がけてください。

    • 私達夫婦は双方とも初婚で、妻は改姓、改名歴はありません。私も妻も婚姻前に設けた子供はありません。この前提が異なる場合、別途必要となる書類、手続きがあるようです。
    • 手続きは在タイ日本大使館ホームページの中にある領事部の情報(以降、「在タイ日本大使館のホームページ」と略します)、オーミ株式会社が発行する「わかりやすいタイ人との国際結婚手続きマニュアル」(東京堂書店や泰文堂書店、タイ紀伊国屋等、タイの日系書店でお求めください)をメインに、インターネットで掻き集めた情報を参考にしました。
    • 上記の情報ソースによれば、日本では役所によって要求する書類がかなり異なるようです。また、タイでも役所によっては特定の書類を発行しないという事例があるようです。日本では担当者により必要書類が異なることは、まずありませんが、タイでは担当者によって言うことが異なることがあります。

  1. 婚姻届けを出す予定の役所に必要書類を尋ねに行く
  2.  私はこれを強く推奨します。他人の事例で書類を揃えても追加書類を要求されれば、またタイで書類を取得しなければなりません。そのようなことになれば時間も費用も浪費することになります。この時点で不明なことがあれば、全て役所で尋ねておいてください。参考までに私が尋ねた内容を以下に示します(回答は私が婚姻届を出した役所のものです。しつこいようですが、ご自分が婚姻届けを提出する役所でご確認ください)。

    • タイ人配偶者は印を持っていないが拇印は必要か? ⇒ 不要です。
    • 提出する婚姻届けは1通か、2通か? ⇒ あなたの場合、本籍、住民票がこの役所にありますので1通で結構です。
    • タイ人配偶者の署名はタイ語で構わないか? 英語の方が良いか? ⇒ 自署であることのみが必要な条件です。言語は問いません。
    • この役所で受け付けるためのタイ側の必要書類は何か? ⇒ 下記参照。
    • 提出するタイの書類の日本語訳には、訳者の署名、印、連絡先の記載が必要か? ⇒ 訳者の署名は必ず必要です。確認の連絡をすることはまずありませんが、連絡先等もあった方が良いです。
    • 婚姻要件を満たしていても、相手側の役所の運用で「結婚要件具備証明書」が発行されない場合、代替書類として何が必要か? ⇒ 上位官庁の判断になるのでこちらでは判断できません。必要であれば照会します。

     横浜市A区役所の場合、要求書類は以下の3つでした。これは在タイ日本大使館のホームページに記載されている内容と同一です。想像ですが政令指定都市である横浜市は法務省のガイドラインを忠実に守っているようです。私の場合、本籍、住民票のある役所で手続きを行ったため、戸籍謄本、住民票は不要でした。

    1. 結婚要件具備証明書
      • 原本
      • 英語訳(タイ外務省で認証を受けること)
      • 日本語訳(参考のための要求であり、タイ外務省の認証は不要)

    2. 住居登録証(タビアン・バーン)
      • 謄本
         絶対に「原本」を提出してはいけません。提出書類は返却されません。故に原本が日本の役所に預けられると、タイ人配偶者を含めそこに記載された家族全員が、タイでの手続きに支障をきたします。私が婚姻届けを出した区役所ではこの事情を知っているようで、「原本は絶対に持ってこないでください」と事前に注意がありました。
      • 英語訳(タイ外務省で認証を受けること)
      • 日本語訳(参考のための要求であり、タイ外務省の認証は不要)

    3. 日本の婚姻届け

  3. タイの役所で必要書類を取得する
    1. 結婚要件具備証明書

    2.  インターネットで収集した情報の中には、「タイでは基本的に結婚要件具備証明書は発行していない」というものもあったので非常に不安でしたが、妻の実家のある郡の役所では発行されました。しかし、役人は賄賂が欲しいようで、

        「タイピストが不在だ(結婚要件具備証明書はタイプ打ちされていなければなりません)
        「郡長が出張中で公印が押せない(公印であれば、首長である必要はありません)

      という見え見えの時間稼ぎをされ、取得に6時間を要しました。結局、一緒に昼食を摂りビールを15本以上奢らされました。

    3. 住居登録証(タビアン・バーン)

    4.  同一のものであるという証明の公印が押されたコピー書類が「謄本」です。日本では役所が原本を管理していますので、謄本を要求すると役所が原本記載事項をプリントアウトし、同時に押印されたものを受け取れますが、タイの場合、住居登録証は各家庭で管理することを義務付けていますので、住居登録証の謄本化とは、「住居登録証とそのコピーを役所で一緒に提示して、同一であることを確認してもらったうえコピーに公印を押してもらう」という手続きを踏む必要があります。通常、写真屋が副業としてコピー機を置いていますので、コダックや富士フィルム、コニカ、アグファの看板を探すことがコピー機への近道です。日本と違ってコンビニでコピーはできません。

       住居登録証には、

      • A3サイズの紙に家族全員が列挙されているもの
      • 銀行の通帳のようになっていて、一人一頁で記載されているもの
      • それらの中から本人だけを抜き出してあるA4サイズの一枚紙

      の3種類があります。私が得た情報では「A3サイズの紙に家族全員が列挙されているもの」の例しか見かけませんでしたが、順次「銀行の通帳」状のものに更新されつつあります。私の妻の場合は「銀行の通帳」状のものでした。この場合、最初のページにある「家の状態」と「配偶者になる人のページ」だけ謄本化してください。配偶者の在留資格申請をする際、タイ人配偶者の親族一覧を書く必要がありますので、一応全ページ、コピーしておく方が良いですが、婚姻届けのときは混乱の元になるだけですから、家族の分は謄本化する必要はありません。

       「本人だけ記載されたA4サイズの一枚紙」は、実家から離れて暮らしている人に不便のないよう要求に応じて発行される謄本のようです。これは婚姻報告時に妻が役所の人に提示していましたので効力はあります。しかし、日本の役所に提出する書類としては、実家にある住居登録証を謄本化する方が良いと思います。

       ちなみに「謄本化する」、「謄本を取得する」というのは通常のタイの生活で使う単語ではありません。どの役所にも中央から派遣されている英語に堪能な官僚が大抵いますので、あなたが英語で用件を伝えることも可能です。英語では色々な表現がありますが、タイで通じやすい言い方では、「謄本」は“Certified copy”、「謄本化」は“Legalization”です。


  4. 翻訳する
  5.  「結婚要件具備証明書」、「住居登録証」を英語および日本語に翻訳します。「手書き不可、要タイプ打ち、翻訳者の署名が必要」です。あなたが英語を理解できるのであれば、日本語訳は英訳を元にご自分で翻訳しても構いません。あなたや配偶者(もしくは友人等)がタイ語を英語に翻訳する実力があると、つい自分たちで翻訳したくなりますが、翻訳会社で事情を聞いたところ、「タイ外務省は実績のある翻訳会社が翻訳した旨の印があるものを信用する傾向がある、業者以外が翻訳したものを持参すると、チェックが厳しくなる」とのこと(セールストークかもしれません)なので、翻訳会社に翻訳を依頼した方が良いかもしれません。私は日本語訳も依頼しました。

     翻訳会社は日本大使館領事部やアメリカ大使館の近辺に沢山あります。タイ外務省旅券課の周りにもあります。どこに依頼する場合でも翻訳ミスが無いかよく確認し、誤りがあればその場で指摘し訂正させましょう。タイでは商業習慣の違いから、料金支払い後のクレームはまず認めません。女性の「Miss」、男性の「Mr」の敬称が抜けているというものは翻訳ミスの代表例です(「ミスが無いのが、ミス」という冗談はよく耳にします)。その他、生年月日が間違っていたという話もよく聞きます。

    質の高い日本語訳を求めるのであれば、日本人がいる翻訳会社に依頼される方が良いでしょう。

    「申請者および証人に質問し、関連書類を調査した結果、(名前)は、○○○県○○郡登録事務所において婚姻登録を行ったことがないと判明した」(日本人が翻訳したものの一例)

    「書類を調べて、申請に来た人と一緒に来た人の説明を聞いたので、(名前)は、○○○県○○郡登録事務所では婚姻登録をしたことがないと信じる」(日本語を理解するタイ人の翻訳の一例;かなり劣悪な直訳の例です)

    では日本の役所に与える印象は格段に違います。翻訳品質を事前に確認できるか問い合わせてみるのも良いでしょう。以前の依頼案件を翻訳例として見せてくれる翻訳会社もあります(個人情報ですので、倫理的な問題もありますが)。日本の事情をよく知る翻訳会社では原文や英訳には「独身証明書」と書かれていても、日本語訳には「婚姻具備証明書」という意訳をしてくれるところもあるとの噂も聞いています(これは「方便」の範疇なのか「誤訳」に属するものなのか、私には判断できませんので、単なる『情報』とお考えください)。翻訳会社を使ったときの体験談等はSAAMII ML等で尋ねてみると良いでしょう。

     全く異なる言語で書かれた名前を別の言語で表記する訳ですから、タイ人の名前を正確に英文字表記、カタカナ表記するのは厳密に言えば無理です。名前に子音が連続する場合や子音で終わる名前の場合には、配偶者の方とよく相談のうえ決めてください。もちろん全く違う名前にすることは常識的にも許されません。もし希望する字面があるのであれば、翻訳を依頼するときに指定してください。タイ人のパスポート取得には、この英訳された字面を使い統一性を持たせなければなりません。日本の戸籍謄本には和訳の際に使ったカタカナ表記が記載されます。

     翻訳にかかる期間、料金は翻訳会社によって異なります。私達の場合、依頼した翌々日の出来上がりでした。


  6. 外務省で英訳の翻訳認証を受ける
  7.  原文と英語訳を持ってタイ外務省のジェーンワタナ・オフィスで認証を受けます。タイ外務省ジェーンワタナ・オフィスは郊外のジェーンワタナ・ロードに面した場所にあります。旅行者がこのオフィス界隈を訪れることは、まず無いと思いますので、ランドマークである『ラクシー・プラザ』をキーワードに場所を説明します。

    • ドンムアーン空港からバンコク市内に向かうとき、右側に『ラクシー・プラザ(LAKSI PLAZA)』という寂れたショッピング・センターが見えるのをご存知でしょうか? その脇にある道、これがジェーンワタナ・ロードです。
    • 『ラクシー・プラザ』をご存知で無い方は、スカイトレインのチットロム駅近くにある『そごう』や、スリウォン通りにある『ウォールストリート・タワー』を思い出してください。あの恥ずかしいデザインそっくりの建物が、ドンムアーン空港からバンコク市内に向かうとき、右側に見えます。それが、『ラクシー・プラザ』です。
    • 『ラクシー・プラザ』から、タイ外務省ジェーンワタナ・オフィスまで結構距離があります。歩くのは止めた方が良いでしょう。

     ドンムアーン空港からタイ外務省ジェーンワタナ・オフィスに向かう場合、ジェーンワタナ・ロードは反対車線に面していますので右折できません。チャトチャック(ウィークエンド・マーケットがあるところ)の手前のUターン・ブリッジを使って戻らないとなりませんので、タクシーで大体80バーツくらいかかります。バンコク市内からタクシーで行くと150バーツ前後です。

     タイ外務省に着いたらエスカレータで2階に上がり、狭い階段を上って3階まで行きます。

    • タイ外務省が認証できるのは、英訳文のみです(つまり、タイ外務省は、タイ語の原文と英訳文の内容が同一であること認証する)。日本語訳を出しても相手にしてくれませんし、認証できません。日本の役所では「参考のために日本語訳を要求している」というスタンスなので日本語訳の認証は不要です。
    • 申請書に必要事項を記入し認証を依頼します。申請書には外国人が記入する書式とタイ人が記入する書式の2種類があります。どちらを選んでも構いませんが、申請人と受取人は同一でなければなりませんので、もし受領時にあなたが離泰しているようであれば、配偶者になる方に申請してもらう(つまり、タイ人用の書式を使う)ようにしてください。
    • 申請や受領は順番制です。整理券は、階段近くに席がある係官からもらいます。
    • 通常、中一日置いて認証済み書類を取得できます。日曜日や国家の休日が入りますと、その分長くなります。午後は3時半ぐらいで窓口が閉まりますので、早めの時間に手続きをしましょう。
    • 認証料金は先払いです。
    • 認証済み書類の受け取り時は、受付時に渡された領収書を提示します。通常、受取人の身分確認も行われますので、パスポートやIDカードを忘れずに持参してください。
    • 住居登録証の謄本があっても、原本を再度確認される場合があります。忘れずに持参しましょう。なお、住居登録証を謄本化していない場合(すなわち、単なるコピーの場合)、原本を持参すれば謄本化、英文翻訳認証が同時に行えるようです。
    • 2階でコピーを取ることができます(有料)。
    • 1階には、クーポン食堂、コンビニ、ATM等の設備があります。

     認証が完了した書類は、原本と翻訳文の双方に認証印が押され分離できないように取り付けられています。絶対に、これを取り離してはいけません。取り離すとカラフルなスタンプが押された、『ただの紙(=無効な書類)』になってしまいます。


  8. 婚姻届けに必要事項を記入する
  9.  日本の婚姻届出用紙は日本の役所で入手しておきます。私の場合、本籍地と住民票所在地が同一でしたので、提出する婚姻届出用紙は1通で良いとのことでしたが、異なる場合には2通必要とのことです。日本人同士の婚姻と異なり、記入要領が分からない場合もあると思いますが、その場合には、空欄にしておいて役所で相談されると良いでしょう。

     役所に婚姻届出用紙を持って行くときに、既に記入されていなければならないのは、以下の2点です。

    1. 配偶者の自書署名

       拇印も必要かどうか、事前に日本の役所で尋ねておいてください。

    2. 結婚の証人2名

       自書署名/捺印が必要です。親族が証人になる場合、同じ名字であっても違う印を押して下さい。三文判で構いませんがゴム印(役所が言うところのシャチハタ印)は駄目です。

     私が婚姻届けを出したときには若干の訂正と指示がありました。具体的には以下の4点です。

    1. 外国人配偶者の生年は西暦に直されました。日本人は元号で記入しなければならないようです。
    2. 事前に聞いていたとおり、妻の拇印は不要でした。
    3. 外国人配偶者の場合でも住所欄に住所を書く必要があります。日本語でという指示がありましたので、「タイ国○○県・・・」と書きました。
    4. 「結婚式をあげたとき、または、同居を始めたときの早い方」という欄がありますが、妻は未だ来日していませんし、婚姻届を出したときには挙式していませんでした。結局この欄は空白のまま提出しました。

     私の場合、本籍地と住民票所在地が同一でしたので、次の日には戸籍に婚姻の事実が記載されていました。婚姻受付けの係官はタイ側の書類に対して日本語訳だけを熱心に眺め、タイ語の原本、認証済みの英訳文は一瞥しただけでした。時間と費用、苦労を重ねて入手した書類だけに、ちょっと残念な気持ちもしましたが、訳語の選定等にクレームが付くよりは「まし」と自分を慰めました。


  10. 戸籍謄本の英訳、認証をする
  11.  日本の戸籍謄本を取得して、ソイ・アソークに面した在タイ日本大使館領事部(ペブリ通りに面した日本大使館の方では受け付けていませんので、ご注意ください)で、英訳および認証を受けます。事前に英訳する必要はありません。在タイ日本大使館領事部が英訳し、日本国の認証をしてくれます。通常、申請翌日に受領できます。有料です。

     私は年次有給休暇の残りが少なく、残った有給は年末のタイでの挙式で使う予定でしたので、会社を休んで訪泰する余裕がなく、妻にこの手続きを依頼しました。在タイ日本大使館のホームページにある注意点を要約すると、

    「夫婦で手続きに来ることが望ましいが、仕事の都合もあるだろうから、日本人配偶者が来れないようであればタイ人配偶者に委任状を渡して手続きをしても良い。それ以外の人に依頼する場合には、よく事情を説明しておいて欲しい」

    とあります。婚姻に直接の関係を持たない人による申請を嫌っているように読み取れますが、タイ人配偶者を観察したいのか、夫婦間の内実をよく知らない人間による申請効率低下を嫌っているのか、本当のところは私には解りません。

     私が妻に手続きを依頼するにあたって妻に送付したのは以下の書類です。

    • 記載済みの証明発給申請書
    • 委任状
    • 戸籍謄本3通(本来必要とされるのは1通だけです)
    • 住所、氏名等、戸籍謄本内で使用されている言葉の「読み」の一覧表(添付を推奨されています)
    • 名刺3枚(要求されていません)
    • 私のパスポートの所持人ページのコピーに私の署名をしたもの(要求されていません)

     これらの書類を会社の封筒に入れて送付しました。妻には「封筒を含めて一式を申請のときに提示し、相手が望むのであれば全て渡しなさい」と指示しました。多めの戸籍謄本、名刺等は夫婦関係と雇用関係を強調するためのものです。領事部はさほど多くはない書類をもとに判断するわけですから、過剰にならない範囲の情報を提供した方が良いでしょう。この手続きは、ビザ申請ほど神経質になる必要はありませんが、足りない書類がないように準備しましょう。受任者である妻はIDカードとそのコピー(認証不要)を持参しました。パスポートは未取得でしたので持参していません。

     証明発給申請書は日本語が解らない人が記入できるような書式ではありませんので、日本人配偶者が記入しなければなりません。私は在タイ日本大使館のホームページから申請用紙をダウンロードし、記載できる部分を全て記載して妻に送りました。妻が申請日と申請者署名のみを記入すれば済むようにしたわけです。

     「委任状内に必ず委任者、受任者の署名捺印が必要」という指示がありますが、委任者である私(日本人)は署名捺印、受任者である妻(タイ人)は印鑑を持っていませんので署名のみとしました。受任者が日本人である場合には押印した方が良いと思います。「読み」の一覧表は人名、地名の誤訳を防ぐためのものです。


  12. 英訳、認証済みの戸籍謄本をタイ語に翻訳する
  13.  翻訳会社に依頼しました。「手書き不可、要タイプ打ち、翻訳者の署名が必要」です。


  14. 英訳、認証済みの戸籍謄本をタイ外務省で認証する
  15.  私はこの作業も含めて妻に依頼したのですが、規則なのか運用上の判断事項なのかは解りませんが、タイ外務省では配偶者の同伴を求めたため、妻一人では認証手続きができませんでした。結局、私が訪泰したときに一緒に申請しました。パスポートのコピーと署名を求められました。


  16. タイ外務省で認証済みの戸籍謄本をもとに、タイ国内で婚姻報告を行う
  17.  日本で婚姻しただけでは、タイ人配偶者の身分(ここで言う「身分」は戸籍やタイの住居登録証のことです)は変わりません。すなわち、タイ人配偶者はタイの役所に婚姻報告を行うまで「独身」ということになります。これでは婚姻関係としても不安定ですし、後々の手続きに支障をきたします。極論を言えば「タイ人配偶者には重婚できる余地がある」ということです。この状態を解消するためにタイ側にも「既に婚姻している」という報告を行い、日泰双方で戸籍上の身分関係を一致させる訳です。

     タイ側の役所での手続きですから、タイの役人は日本語で書かれた戸籍謄本は理解できません(理解できる役人もいるかもしれませんが、個人の資質と書類の有効性は別の問題です)。その点を差し引いても、島田さんの説明にありますように、タイはヘーグ条約に加盟していないことから、相手国が発行した公文書をそのままの状態では公式書類とは認めません。在タイ日本大使館での英訳認証、それをタイ語に翻訳した文書をタイ外務省でセットで認証してもらうのは、タイ側の役所に提出する証拠書類を証拠として扱うためのステップと言えます。

     私達の場合、妻の実家のある郡役所ではなくバンコク市内の区役所で婚姻報告を行いました。タイの法律では「住居登録証のある役所で婚姻報告をしなければならない」という義務は科していません。タイ国内のどこの役所で婚姻報告を行っても良いとされています。

     ただし、婚姻による身分事項の変更は、婚姻報告後90日以内に、住居登録証のある役所で行わなければならないと定められていますので、婚姻報告後に発行される婚姻を証明する謄本(家族身分登録票と記録書)を提示して、住居登録証とIDカードの変更をしなければなりません。住居登録証のある役所で婚姻報告を行った場合、同時に変更できます。新しいIDカードの発行には2箇月ぐらいかかるそうです。新しいIDカードができあがるまでは「更新中である」ということが書かれた黄色い紙が渡されますので、それがIDカードの替わりになります。

     私と妻が一緒に婚姻報告を行ったときは、婚姻関係を確認するため、登録官から簡単な質問がありました。日本人はタイ語を喋ることができないという先入観があるためか大筋タイ人配偶者のみ質問されるようです。タイへの婚姻報告も証人2名の署名が必要ですが、役所の人が証人になってくれます。一般的に証人になってくれた役所の人に幾ばくかの謝礼金を渡すのが慣例になっています。婚姻報告手続きは無料ですが、謄本の発行には手数料がかかります。

     タイの民法上は、婚姻報告には夫の同伴を必要としないようなのですが、現場では誤解があるようで、特に地方では「創設的婚姻の届け出は両名が来て、宣誓署名する」と同じ運用がなされているようです。これについては在タイ日本大使館領事部で「タイの法律では、婚姻報告に夫の同伴は必須ではありません」ということを解説した文書(日本語とタイ語で記載)をもらえるようなので活用できると思います。

     タイでの婚姻が成立すると「家族身分登録票」と「記録書」が作成されますので、この書類の謄本を3部程度要求しておくと良いでしょう(「家族身分登録票」と「記録書」は手書きの文書です)。住居登録証/IDカードの変更、配偶者が日本に住むために必要となる在留資格認定証明書の申請(日本の法務省に申請)、更に日本へ行くためのビザ取得(在タイ日本大使館に申請)のときに必要となります。在タイ日本大使館にビザを申請するときには、謄本を返却してくれるようです。その後、タイ人配偶者が日本で居住後、在日タイ王国大使館に提示する局面が訪れますので、最低1部は謄本が手元に残るようにしておかなければなりません。

     なお、「家族身分登録票」と「記録書」は在留資格認定証明書を申請する際に日本語訳が必要になります。表音文字であるタイ語から表意文字である日本語への翻訳になりますので、誤訳を防ぐために「読みの一覧」を翻訳会社に一緒に提出しておきましょう。


  18. 修正後の配偶者の住居登録証を入手する
  19.  「日本人の配偶者等の在留資格認定証明書発給」を日本の入管に申請するために、婚姻後の配偶者の住居登録証のコピーを入手しておきましょう。配偶者がタイ女性の場合、住居登録証には以下の修正が施されるだけです。

    • Miss」と書かれた敬称が取消し線で消され、「Mrs」になる。
    • 婚姻前の姓が取消し線で消され、夫の姓になる。
    • 上記の修正を認証する印が押され、登録官の署名がする(後日の和訳のため、登録官の名前をどのように発音するかだけ配偶者に聞いておきましょう)。

     日本の入管では、この修正後の住居登録証に対する謄本化、英訳、タイ国外務省による認証を求めていませんので、単にコピーを用意しておけば結構です。あとは日本の婚姻届けを出す際に用いた翻訳文をワープロ化して、それに上記の修正を施せば時間と翻訳費用の節約になります。


 それでは、これから手続きをされる皆様、お幸せに。


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